保育園でのプチストーリー「日なたのベンチ」

東京都のA保育園に遊びに行きました

A保育園に遊びに行きました。
A保育園はずっと前からその町にある保育園です。
園舎も門も新しくないけれど、こどもたちは元気によく遊び楽しそうでした。

明るくて穏やかな表情でした。
お庭の遊具の片付けもどんどんやっちゃう、お手伝い大好き!の3歳児がいっぱい、の保育園でした。
B先生のお話をたくさん伺いました。
伺っていて私の胸は熱くなりました。
ブログの読者の皆様にぜひお伝えしたいエピソードです。

職員室前の小さなベンチ Hくん

A保育園の職員室は園庭に面しています。職員室の前にはウッドデッキがあって、そこには小さなベンチが2つありました。
ベンチは古いベンチですが、座面にみどり色のギンガムチェックの布で作ったカバーが掛けてありました。

この日、3歳児のHくんはこのベンチに座って、細かいピースのジグソーパズルで遊んでいました。
国旗がたくさん並んでいる絵でした。隣のパーツとの繋がりがわかりにくくて3歳児のHくんには難しいだろうなぁと思いながら、私はそばにいさせてもらいました。

私(M)はHくん(H)とこんなおしゃべりをしました。

M

見てていい?何組さん?

Hくん

いいよ〇〇くみ。4さい!

M

すごい、4才さんなのに、こんな難しいパスルできちゃうの?
もういや!って途中でやめちゃいたくならないの?

Hくん

うん。ならないよー。

M

すごい、かっこいいね!
じゃあ、お手伝いしない方がいいかな?

Hくん

うん。ぼく、一人でできるもん!

Hくんはパズルをしながらお話をたくさんしてくれました。

M

今日は朝、誰と保育園に来たの?

Hくん

パパと。ママに上からバイバイってしたよ!

M

窓からママにバイバイ、ってしたの?
じゃ、ママは下から「行ってきまーす!って言ったのかな?

Hくん

うん!

朝はパパの自転車に乗って保育園に来るというHくん。パパの自転車に乗って来る道順を「ああ行って、こう行って~」と腕を大きく回したり、あっちこっちを指さしたりしながら私に教えてくれたHくんでした。
Hくんの家庭が見えるようでした。きっとパパとママは忙しい朝、協力して二人の子どもを保育園に送り届けているのですね。

「この日なたのベンチ。いろいろな子がここで過ごします。」(B先生)

「このベンチではひとりで過ごす子が多いんですよ」
「でも、いいと思うんです、一人で遊べる子は遊ぶ力があるのですから」
「それに、一人でいても、けっこう友だちのことをここから見ているんですよ」とも。

「でもねぇ~」とB先生。
「一人で遊ぶことが多い子のお母さん(親)は心配するのよねぇ~」
「親は人と違うのが心配なのよ」

「そんなおかあさんたちには何と?」と私が問いかけると、

心配だろうけど、それはわかるけど。大丈夫よ、って言っています」
普通がいい、普通でいてほしいっていうおかあさんの気持ちはわかるから。

私はB先生のお話を聞いて胸が熱くなりました。
ただ、「大丈夫」と言うのじゃなくて、普通がいい、普通でいられるように、って願う親の気持ちを十分わかってくれた上での、「大丈夫!」なんですね。
B先生の気持ち、お母さんたちの心にしっかり響いているだろうな、って思います。
ギンガムチェックのみどりの布カバーは用務の方が作ってくださった、とのこと。
日なたのベンチは子どもの心にあったかいベンチでした。
A保育園はお母さん(保護者)にもあったかい、と思いました。
こんな日常のA保育園。「質の高い保育」ってこういうことね、と思いました。