東京都世田谷区松原の「日本女子体育大学 附属みどり幼稚園」を訪問しました

下高井戸駅(世田谷線・京王線)から歩いて10分ほどの静かな住宅街。

二階堂トクヨ先生が日本女子体育大学を創設、その後、弟の二階堂清寿氏が始められた「みどり幼稚園」。創立70年を超えるとのこと。
幼稚園と隣接して、日本女子体育大学附属二階堂高等学校があり、授業で使用していない時には子ども達が自由にグラウンドや体育館で思いっきり遊んでいます。体育館・広いグラウンドも使えるなんて幼稚園としては稀なる恵まれた施設環境です。

訪問で印象に残ったのは、先生たちのとびっきりの明るさ、お日さまみたいなあったかさです。加えて、こどもたちの人懐っこい笑顔とおいしい手作り給食。前日までの天気予報が一転の大雨の一日でしたが、みどり幼稚園には雨雲を吹き飛ばす爽やかな空気がいっぱいでした。

そんな「日本女子体育大学 附属みどり幼稚園」をご紹介しましょう!

「日本女子体育大学 附属みどり幼稚園」について

本園は初代園長 二階堂清寿の

という言葉と人間教育の精神を受けついでいます。

遊びを通して、自ら学び、感性ゆたかな心と丈夫な身体の発達を助長し生きる力を育むことを目指しています。

  • 子どもが主軸の保育を実践する
  • こどもが自ら育つ環境作りを行う
    (考える・気づく・感じる・表現する)
  • ひとつひとつの体験やそのプロセスを大切にする

子どもたちの豊かで幸せな未来のため「日本女子体育大学 附属みどり幼稚園」が大切にしていることは?

  • 子ども達の笑顔と元気な声に溢れ、先生方も元気いっぱい笑顔いっぱいの幼稚園であること
  • 日々「たのしかった~」との言葉が子ども達からたくさん聞かれる保育
  • 一人一人自分の思いを素直に伝えたり、表現したりできる子に育つ保育
  • 子ども達一人一人に寄り添い、その子なりに成長していける保育
  • みどり幼稚園の子ども達を卒園まで教職員全員で保育する
    共通認識のもと保育を行っている。どの教員も全園児の名前を把握しています

3年間という短い幼児期、保護者の方々にも一緒に楽しんでいただける幼稚園生活であることを目指しています。

みどり幼稚園のこどもたち・先生たち

大平園長先生が、園内を案内してくださいました。
雨のため、ご自慢の広いグランドでは遊べなかったのですが、子どもたちは落ち着いて過ごしていました。
どこのクラスでも園長先生の姿を見ると、駈け寄ってきたり、「えんちょうせんせ~い!」と手を振って声をかけたりするお子さんがたくさん。

大平園長先生のことを子どもたちはだいすき、なんですね!

こどもだけでなく、担任の先生たちも園長先生と笑顔でちょこちょこっと言葉を交わしていました。みどり幼稚園の日常なのでしょう。 園の雰囲気の良さが伝わってきました。

日本女子体育大学附属であることもあって、みどり幼稚園では、教職員の産休育休取得、休憩時間など、労働条件を整えています。日本の社会で働き方改革は進んできてはいますが、幼稚園、という職種において、みどり幼稚園の取り組みはすばらしいですね。

しかしながら、なんと、この日は 先生が4人もお休み!
いろいろな理由で当日の朝、急にお休みしなくてはならなくなった先生もいらっしゃったとか・・・。それを伺って、私は、おせっかいにも「預かり保育のお昼寝布団の用意でもお手伝いしましょうか?」と申し出ました。

ところが‼
「ありがとうございます、でももうすっかり用意はできているんです。私も知らないうちに先生たちがササっとしてくれたみたい、ウチの先生たちって凄いでしょ?」と笑顔の園長先生。

お休みがいてもカバーしあう先生たち。みどり幼稚園の先生、職員の皆さんの連携は最強ですね‼

お部屋を回っていて気づいたことがありました。子どもたちの作品が壁や廊下に飾ってあるのですが、どれもとっても伸びやかで個性的なんです。一人ひとりが、きっと楽しく取り組んだんだろうな、とすぐにわかりました。先生たちの指導の確かさです。

製作でこどもたちに個性を出して欲しい、と思ってはいても、働きかけや活動の選択によっては、どれも同じようなできあがりになったり、先生が示す見本通りになってしまったりすることがあります。

園長先生は「こうあるべき、というものを子どもに示さないようにしている」とのこと。
さすが!作品の一例をご覧ください。

個性豊かなダンゴムシの製作
階段を埋めるかわいいダンゴムシたち!

園訪問レポート

1.環境
−細やかな心配りがいっぱい!−

子どもたちが登園してすぐの入り口や階段の下に大きなタオルが敷いてありました。雨の日の配慮です。上靴の底の水分を取ることで、子どもたちが滑らないようにするためです。

雨の日の滑り事故を防ぐ足ふきマット

3歳児年少組は廊下が繋がっているオープンクラス。先生たちの連携も取りやく、目が届かないところを作らない。3歳児ならではの安全を守るさりげない配慮です。

3歳保育室の廊下

2.預かり保育

みどり幼稚園の預かり保育は2つのタイプがあります。
保護者がフルタイムで就労している(就労証明書提出の方)「ひまわり組」と、スポット制の「さくらんぼ」の2種類があります。ひまわり組には学年ごと専任が3名。さくらんぼ組も専任担当が1名。また、預かりの教員は専任以外にもサポートの教員も5名程います。十分な人員配置です。

預かりのお部屋は、こどもたちにとって幼稚園でのおうちなんですって。
長時間になる預かり保育で大切な考え方を教えていただきました。

「おはようございます」と保護者から預かって
「行っていらっしゃい」と各保育室に送り出し
「おかえりなさい」と各保育室から迎え入れ
「さようなら」と保護者にお返しする

3.伝統の給食

今でこそ、幼稚園でも給食を提供している園は増えてきましたが、みどり幼稚園の給食は67年も前から。昭和32年(1957)からです。戦後まもない時代、みどり幼稚園も開園当初は自宅からお昼を持参。しかし、ふかしたお芋だけの子や、何も持ってこない子もいたそうです。1日のうちの一食だけでも、どの子にもバランスの取れた食事を。保護者の方々も昼食を持たせられないことを気にせず子ども達を園に送り出してほしい、という初代園長先生の温かい思いから給食を始め、現在にいたっているそうです。

みどり幼稚園の”親に優しい立ち位置”を感じるエピソードです。

そして、60年を超える歴史の中で、代々の栄養士さん、調理師さんたちの工夫によって今や、みどり幼稚園の給食は園の自慢になりました。給食がおいしくて、子どもたちがおうちでも食べたがり、レシピ本の発行にまで至ったということです!素晴らしい! 私もご馳走になりましたが、と~~っても美味しかったです!

今日のメニューはチーズ入り竹輪揚げ

4.「幼稚園」を続けたい!

みどり幼稚園は預かり保育が充実しているので、殆どこども園と同じ体制だと思います。
「どうしてこども園を名乗らないのですか?」失礼な私の質問に、大平園長先生は迷いなく答えてくださいました。

「ずっと、幼稚園だったから。幼稚園でありたいから」
「保護者の方に、こどもが幼稚園に通う数年を楽しんでほしいから」
この言葉はずん!と私の胸に響きました。
幼稚園って、保護者にとってもわが子の成長を肌で感じられる、自分の目でしっかり見つめられる特別なところ、特別な時間なんですよね。

少子化の時代、子どもを産み育てることを選ばない、選べない若い方々が増えている日本です。女性が働くことを応援したい、男性、女性の区別なく。そのうえで、安心して赤ちゃんを迎えられる世の中にするにはどうしたらいいんだろう、と日々考えている私です。

大平園長先生の言葉には「こういう視点も忘れないでね!」という力強いメッセージがありました。

そういえば・・・。2年前、アンケート配布で世田谷区内の園を回りましたが、その時のみどり幼稚園の雰囲気を思い出しました。ちょうど、朝の登園時間でした。子どもを送って帰るお母さんたちがステキだったのです。互いにちょっとした笑顔と言葉をかけあいながら、颯爽と門を出ていくお母さんたち。ゆとりと明るさ。

大平園長先生の「この数年を楽しんでほしい」という願い、きっと、保護者(お母さんたち)に届いていますね! こどもたちはもちろん、保護者もそして先生たちも楽しい、「日本女子体育大学 附属みどり幼稚園」のレポートでした!

バレーボールで優勝!

基本情報

園名

日本女子体育大学 附属みどり幼稚園

住所

〒156-0043 東京都世田谷区松原2-17-22

電話

03-3322-9155

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